2016年5月14日公開の映画「世界から猫が消えたなら」を見に行ってきました。
公開初日の朝一番の回、ほとんどの席が埋まっていました。
キャスト
佐藤 健:僕 / 悪魔
宮崎 あおい:彼女
濱田 岳:ツタヤ
奥野 瑛太:トムさん
石井 杏奈:ミカ
奥田 瑛二:父さん
原田 美枝子:母さん
スタッフ
原作:川村元気「世界から猫が消えたなら」
映画プロデューサーで代表作は『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』。この作品が初の著作。
監督:永井 聡
ダイハツ工業やサントリー「グリーンDAKARA」等の数々のCMを監督し、ACC CM Festivalでクラフト賞テレビCM部門のディレクター賞を12年と13年の2年連続で受賞。
監督した映画は「いぬのえいが」(05)「ジャッジ!」(13)。
脚本:岡田 惠和
「彼女たちの時代」第50回文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
連続テレビ小説「ちゅらさん」第10回橋田賞、第20回向田邦子賞受賞。
「続・最後から二番目の恋」東京ドラマアウォード2014脚本賞受賞。
「さよなら私」文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
他に「若者のすべて」「ビーチボーイズ」「ど根性ガエル」等。
主題歌
HARUHI 「ひずみ」
あらすじ(注意!ラストまでネタバレしています。)
突然の診断
郵便配達員の「僕」(佐藤健)は30歳。猫のキャベツとふたり暮らし。路面電車が走るレトロでかわいい町並みを仕事帰りに自転車で走る。ビデオ屋に寄ると親友のツタヤ(濱田岳)がいつものようにオススメ映画のDVDを渡してくれる。「今日はこれだ。考えるな、感じろ。」とブルース・リーの『燃えよドラゴン』のセリフ。
帰り道、突然 頭に強い痛みを感じ、病院で診察してもらうとかなり進行した脳腫瘍。いつ急変してもおかしくない状況だと言われる。僕は診察室から叫び声をあげながら走り出す妄想をするが、あまりにも深く絶望した人間は取り乱したりしない。僕はボーっと先生の話を聞く。
ボーっといろいろ考えながら洋食屋さんでオムライス。上に乗ってるパセリを除ける。
悪魔の取引
古いアパートに帰ってきた僕は猫のキャベツにあいさつをする。するとそこに僕と同じ顔、同じ格好をしたもう一人の僕がいる。彼は悪魔で、僕の寿命を教えてくれた。どうやら僕は明日までしか生きられないようだ。悪魔は僕に取引を持ちかけてきた。
「この世界で1つだけ何かを消す。その代わり1日の命を得ることができる。」
消えても誰も困らないようなものが次々と浮かんでくる。
「じゃあ、パセリで。パセリでお願いします。」
「え?消すものはこっちが決めるの。」悪魔はそう言うと、消すものを探してキョロキョロしている。その時、郵便局の局長からの電話が鳴る。僕は一週間のお休みをもらった。
「この世界から電話を消そう。」
最後に誰かにかけないの?と悪魔に言われ最後に電話すべき人をスマホの電話帳から探すが、見つからない。
僕が小さい頃の回想
小学生の僕は雨の中、レタスのダンボールに入った捨て猫を見つける。そして時計店を営む家に連れて帰る。父さん(奥田瑛二)は時計の修理中。母さん(原田美枝子)は猫アレルギーだったけど、飼ってあげることになった。レタスのダンボールに入っていたので名前はレタス。レタスは母さんにとてもなついた。そしていつの間にか母さんの猫アレルギーが治っていた。
電話をかけた相手
僕は結局、昔付き合っていた彼女(宮崎あおい)に電話をかけた。彼女とは、間違い電話ががきっかけで出会う。その時見ていた映画で話が盛り上がり、偶然にも同じ大学だった。僕は彼女と会うと緊張してあまり話ができなかったけど、電話では饒舌になり毎日長電話をしていた。
久しぶりの彼女との再会。最初はぎこちない2人。
「他にいるんじゃないの?最後にかけるべき人。」
映画「世界から猫が消えたなら」パンフレットより
母が危篤の時の回想
危篤状態の母さん、声をかけるも心電図がピーっと鳴って亡くなってしまう。亡くなった後に父さんがかけつけ、「時計が治ったぞ。」と枕元に懐中時計を置く。僕はこんなときに何やってるんだ!と病室を後にする。
彼女
彼女は僕と別れた後も母さんと会っていた。お買い物をしたり、美容院に一緒に行ったりとても仲が良かったようだ。
思い出話に花を咲かせた2人。何で別れちゃったのかなと聞く僕に、彼女は「別に嫌いになって別れたわけじゃないけど、あるんだよ。そういう事。」と言った。
別れ際、彼女は「世界から電話は消えて欲しくないな。電話がなければ私達も出会わなかったわけだし。」と言った。
「そうだけど僕、もうすぐ死ぬんだ。脳腫瘍の末期らしい。」
彼女はうちに帰ると机から何かの封筒を取り出しポストに投函した。
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世界から電話が消えたなら
電車に乗っていると悪魔が現れ、世界から電話を消してしまった。すると持っていたスマホが溶けるように消滅して、携帯会社が文具屋さんに変わった。
慌てて彼女のところに行くと、彼女は僕の事が誰だかわからなかった。思い出がすべて消えてしまったようだ。
そしてまた悪魔が現れて「次は映画を消そう。」と言った。
こうやって何かを犠牲にしながら1日1日を生き延びていくのだろうか。
ツタヤ
ツタヤとは大学で出会った。2人の共通の趣味の映画。ツタヤは僕よりも映画にすごく詳しい。ツタヤからオススメのDVDを渡され、それを僕が見るの繰り返し。それは今でも続いている。
「たとえば死ぬ前に見る1本を選んでくれないか。」とツタヤに言うと「俺達と映画の関係は永遠に続くんだろ?」と取り合ってくれなかった。
でも僕が帰った後にツタヤは最後の1本を探し続ける。
「あいつの見る映画を見つけるのが俺の役目なのに、あいつが死ぬんだ。最後の1本を見ようとしてるのに見つからないんだ!」
取り乱したツタヤを見て店員のミカ(石井 杏奈)が探すのを手伝いますと言った。
映画「世界から猫が消えたなら」パンフレットより
世界から映画が消えたなら
悪魔に「命のほうが大事だよね」と言われ、最後の1本を見ることなく、世界から映画を消されてしまった。あわててツタヤのところに行くがビデオ屋がなくなり、本屋さんに変わっていた。
そこで本の整理をしているツタヤ。映画の思い出が消え、ツタヤとの思い出も無くなってしまった。
彼女と行ったアルゼンチン旅行の回想
僕と彼女は旅行先のアルゼンチンで世界中を旅するバックパッカーのトムさんに出会う。3人はとても仲良くなり、トムさんの旅の話をたくさん聞かせてもらった。
トムさんは「時間から逃げ回ってるんだ、人間だけが時間に縛られている。世界にはたくさんの残酷なものがあるけれど、同じくらい美しいものがある。」という。
トムさんとお別れの日、3人は抱き合いながら別れを惜しんだ。さよならをして少しすると背後がざわついている。振り返るとトムさんは倒れて腹から血を流して亡くなっていた。
ブエノスアイレスのイグアスの滝に行った2人。滝はすごい迫力で轟音が響く。彼女は滝に向かい「生きてやる!」と叫んだ。帰りの駅のホームでは2人の間に会話は無かった。
その時、彼女の姿も時計も消えてゆく。
世界から時計が消えたなら
世界から時計が消えて、父の「カモメ時計店」も無くなった。
悪魔は「大切な人との思い出が消えてつらい?でも自分の命は大事だよね。何かを得るためには何かを失わなければならない。」とニヤリ。
「次は猫を消しましょう。」
家族との回想
「レタスが全然ご飯を食べないんだ」と母さんに言うと「私に合わせることないのよ」と母さんは言った。母さんは病気になってしまっていた。
ご飯を食べずに弱ってしまったレタスは母さんの膝の上で眠るように亡くなった。レタスの死後どんどん弱っていく母さん。
僕は何とかしようと町をうろうろ、その時何かを見つける。
猫の鳴き声で目を覚ます母さん。外にキャベツの箱に入った、レタスにそっくりな猫を見つける。「今度はキャベツか。」と部屋を覗き呟く父に笑顔になる母さんと僕。猫はキャベツと名付けられた。
映画「世界から猫が消えたなら」パンフレットより
最後の旅行に出かける3人。手違いで旅館に予約ができておらず、父は野宿はごめんだといろいろな旅館に聞いて回る。やっと見つけた古い宿。悔しい思いをしている僕に母さんは「いい宿じゃない、ご飯もおいしいよ。」と言う。
母さんが僕に「母さんがいなくなったら読んで。」と手紙を渡そうとするが、僕は「遺書みたいなことやめて。」と受け取らない。
キャベツがいない
部屋で目が覚めると、キャベツがいない。外は雨が降っている。外にキャベツを探して走り回る。アパートに帰ると軒下にキャベツがいた。
ホッと安心した時、ポストに手紙を見つける。封筒の中には母さんからの手紙が入っていた。彼女が送ってくれたものだった。
私があなたのためにしてあげれることはもうありません。その代わりあなたの素敵なところを書きます。・・・・・・・
海辺の回想
旅行での朝。海辺で話す母さんと僕。
「あなたが生まれてきた日も、気持ちの良い朝だった。あなたが生まれた時、父さんはありがとうと言ったのよ。生まれたばかりのあなたに。」
「僕は今さら後悔してるんだ、母さんにありがとうと言えなかったこと。母さんには自分の時間があったの?母さんは僕の事ばかり考えてくれた。」
「私はもうすぐいなくなるのよ。私思うんだ。人間が猫を飼ってるんじゃない。猫が人間のそばにいてくれてるの。」
「キャベツ..この子をお願いね。」
父さんがカメラをもって駆けつけた。泣いて震えてカメラを撮るのでピントがぶれる。
映画「世界から猫が消えたなら」パンフレットより
――悩んで悩んでいつも最後には正しい答えが出せるあなた。いつまでもその素敵な所がそのままでありますように――
浜辺で後ろから来た悪魔。僕は悪魔に「ありがとう」と言った。「ありがとうって?」戸惑う悪魔。
「あなたのおかげでこの世界がかけがえのないものだと分かった。寿命を知らされてそれを受け入れて死ねる。それはとっても幸せなこと。猫は消さない。」
「そうか、ありがとうで終わる人生も悪くない。」と悪魔。
最後の朝
おはようキャベツ。最後の朝。電話も映画も時計もある。世界は元に戻っている。
僕は父さんに手紙を書いた。
父さんへ書いた手紙を持って僕は自転車に乗った。かごにはキャベツが入っている。
彼女とツタヤにお別れのあいさつをして、父さんのいる実家「カモメ時計店」に向かう。
母さんがキャベツを見つけた日の回想
街でうろうろしていた僕は、父さんを見つける。父さんはレタスにそっくりの猫の里親募集のチラシを持って内緒だぞと言った。
父さんの作業場には山積みのキャベツ(野菜)。
カモメ時計店
僕は父さんのいる実家「カモメ時計店」に到着する。
玄関を開けると、母さんが産まれたての僕を抱いて病院から帰ってきたシーンに変わる。
父さんが出迎えて、産まれたばかりの僕にありがとうと言った。
―終わり―
世界から僕が消えたなら キャベツの物語
世界から猫が消えたならのもう1つのお話。主人公僕の飼い猫のキャベツの視点で書いた感動の物語です。
「ボクのことなんて消してしまっていいんだよ、ご主人さま……。」
感想
原作も読んでいたので公開を楽しみにしていました。
今回は母親と小学生の娘と3人で鑑賞。3人とも感動して泣きました。大切な人、かけがえの無いもの、家族の事、いろいろ考えさせられました。
猫を飼っている人はすごく感情移入ができるのではないかと思います。私も実家で拾ってきた猫をずっと飼っているので、キャベツとレタスが出てくるシーンでは、ずっとジーンとしていました。母さんの僕への深い愛情がわかる海辺のシーンもグッとました。
原作ではキャベツが時代劇の言葉を使ってしゃべりますが、映画では人間の言葉で話さなかったのも良かったと思いました。原作の人間の言葉が話せるキャベツはすごくかわいいけど、母さんの事を全く覚えていないが悲しかったし。
映像がやわらかくてキレイで透明感があった。それに街がすごくレトロで可愛くてポストカードみたい。佐藤健も僕役にピッタリで魅力的に感じました。宮崎あおいはやっぱり演技が上手だ。トムさん役の奥野瑛太は知らない俳優さんだけど、自然でとても印象に残りました。濱田岳も良い味出してた。
でも、回想シーンと現在の行ったり来たりが途中で??になったりもしたので、ちょっと説明不足というか何か惜しい感じがしました。後、イグナスの滝のシーンは迫力があって印象に残ったし、良かったけれどそのシーンだけ浮いていて取って付けた様な感じがした。手紙が届いた事とか、いろいろな矛盾などを気にしないで素直に見れる人には、とても良い映画だと思います。
娘はお土産にキャベツとレタスのキーホルダーを買いました。とってもかわいいですよ。各300円でした。